読書メモ>隷属なき道-AIとの競争に勝つベーシックインカムと一日三時間労働
今さらながら、ルドガー・ブレクマンの『隷属なき道-AIとの競争に勝つベーシックインカムと一日三時間労働』を読んだ。
2017年の発行だからもう8年前の本だが、ベーシック・インカムの先駆的な一般書として、当時話題になった。読んでみると分かりやすく明確なメッセージがあって、さすがと思わせる。
何故この本を見逃していたのかというと、邦題の『隷属なき道』がどうも暗いというか、何の本なのか伝わりにくいというか、とにかくキャッチーでない。手に取りたい感じではないのだ。「機械(AI)への隷属」の否定なのは分かるけども。英語版の原題の「Utopia for Realists」の方がよほどしっくり来る。ユートピアを探求するこの本にはピッタリだ。
著者が歴史出身ということで、史実をベースに展開される。ベーシックインカムは新しい話だと思っていたが、実は歴史が古く、様々な実験や政策が積み重ねられているのだ。
史実から分かることは、人々に現金を給付すると、健康が改善し、教育期間が伸びて、成績や悪行も改善し、さらに福祉の罠から自由になり、成長と昇進の機会がある仕事を求められる状態になるということだ。つまり将来に希望が持てるようになる。貧困の事後対策をするのに比べて、費用も安い。良いことづくめで、すぐにでも実行されておかしくなさそうだが、何故されていないのか。
実はベーシックインカム似の現金給付政策が、1969年のアメリカで、ニクソン大統領によって提案された歴史がある。それによく似た現金給付策が19世紀のイギリスで行われ失敗だったという報告に阻まれて成立しなかったが、その報告こそが捏造だったというのが、その後の歴史研究で判明した。ベーシックインカムへの反論としてよく言及される、導入されたら人は働かなくなるとか、金を配っても酒に消えるとか、その手のよくある反論が、この捏造された失敗伝説に由来していることが分かった。
他にこの本で提案されているのは、労働時間の短縮と国境を開くことだ。労働時間の短縮は、生産性が上がって、コンピュータとAIの進歩で労働に必要な時間が短くなって、雇用が減っているので、労働時間の再分配をしようということだ。そして医療や教育や家事や地域貢献のようなサービスに従事する時間を、生産性の悪い分野としてマイナスに考えるのではなく、(工業品の製造のような分野にかける時間が減った分)人のケアに時間をかけられることをプラスに受け取ろうと著者は呼びかけている。ここは自分も同感だ。問題は経済活動の中でそれを成立させることではあるけども。
以後は、この本の直接の紹介というよりは、読んで自分が考えたことを中心に書く。自分が読書に求めるものは、本を読んで何かを学び知ることよりも、読みながら一緒に考えることだ。その意味でこの本は理想的だった。
* ベーシックインカムと労働
まずベーシックインカム制度について。
本当に人は働かなくなるのだろうか?失業中の自分の経験からは、最初の2~3ヶ月は働かない日々を過ごせたが、その後は退屈で毎日することが欲しくて、心の底から仕事がしたいと思った。それに運動不足も堪えた。とにかく毎日行くところが欲しかった。人恋しさもあった。他の人も同じことになるだろう。実感として、ベーシックインカムで人が働かなくなることはない。
しかしながら今と同じ労働を継続することはないだろう。まず、辛い肉体労働や長時間労働をする人がいなくなる。気分よく体を動かせる軽作業や短時間労働に人気が出るだろう。小売りやサービスは案外人気が出るのではないか。ベーシックインカム時代に人々が求めるものは、楽しく気分よく参加できるクラブ活動のような労働だ。
今の現実とギャップがあり過ぎるだろうか?しかし、人が選ばなくなれば、すぐにその方向に変化する。今でも、小売りの現場などは、シフトの時間がかなり細切れになっている。社会保険加入の適用時間が引き下げられたのが原因だろうけど、このように変化のインセンティブさえあれば、社会はその方向に変化する。
医療や介護の現場の問題も、従事者の労働時間が短く細切れになれば、かなり解決しないだろうか。働く人の疲労の蓄積が問題となっている分野では、労働時間の短縮は有効な方策だろう。
そうなった時困るのは、本当に社会に必要なのに、きつい肉体労働の担い手がいないという問題だ。これはロボットや自動化、特に人工筋肉(物理的な動作は人間が行うが、軽い力で疲労を蓄積せず動作が出来るようにサポートしてくれる外骨格ロボット)の導入で解決することになる。むしろ、きつい肉体労働から人が離れたときにそれを担うだけの技術が出来ているかどうか、その準備が整っているかが、ベーシックインカム導入の時期を決める重要な要素だと考える。
これは自動的には進まない。この分野を積極的に開発して投資をしていかないといけない。きつい肉体労働は安い賃金とセットだ。そのような分野では、機械化より人の方が安いから人を使う。人が高価になったり、調達できなくなったら、しぶしぶながら置換が進む。逆はない。失業中にタイミーさんとして働いて実感した。これは待っていても変化しない。政策的に実現しないといけない。
日本はこの分野に重点投資をするべきだ。何故なら、この課題は世界で共通だからだ。この先の世界的な高齢化社会の課題でもある。潜在市場はものすごく大きい。人の働くところ全てに可能性がある。先に開発をして、世界をリードすべきだ。
ベーシックインカムは、いつかはそういう世界になるだろうけど、その時はまだまだ遠い夢物語と思われている制度ではないだろうか。人工筋肉(人の判断力や万能さと、機械の力の組合せ)と機械化・自動化は、現実と夢物語をつなぐ接点だ。
* 物価、インフレ、そして経済システム
次に、本に出てこない反論はインフレ。配ってもその分物価が上がって、結局ベーシックインカムを配る前と同じことになってしまうという反論だ。経済の問題。実は、自分の問題意識もここにある。
時代の変化の中で経済システムがうまく行かなくなっているからそれ自体を考え直したいというような、そんな問題意識だ。
ベーシックインカムで買うものは必需品、食料品と衣料品と生活雑貨、あとは住居だろう。住居は別として、食料品と衣料品と生活雑貨は、自分が一人暮らしを始めた頃(90年代初頭)と比較すると、ものすごく安くなった。必需品がこんなに安くてよいのかと思うくらいだ。
しかし問題も噴出している。農家は農作物を売ることで生きていけない(くらいの額しか稼げない)し、経済的に成立させようとしたら環境や人間に負荷がかかり過ぎる。衣料品や生活雑貨も、生産や流通に無理がかかり過ぎている。安くしないと人は買わないし、安くする圧力だけがかかり続ける。その中で、抜け駆けする者、人や環境に無理をさせる者が勝って、労働環境も自然環境も悪くなる一方だ。なんだかおかしくないか。問題を作るために経済活動してるみたいだ。
問題を作って事後対策するのではなく、もっと、それを続けると良い方向に変化するような、予防的な経済システムに出来ないのだろうか?
そもそも、本当に我々は必需品に今の予算しか出せないくらい貧しいのだろうか?もっと出せるし、出すべきじゃないだろうか。自分達の身体を作る大切な食ならば、従事者が持続可能な農業を余裕を持って継続出来るくらいのお金を出すべきだろう。
既存品が安くなる方向にしか変化しないのであれば、昔からある、いわゆる生活必需品ほどジリ貧になる。
物の価格は、その前の価格との比較で判断される。2025年現在、米は急騰してすごい騒ぎだ。一方で、今の米価格の水準は、農家が米作を継続出来ないくらい安いのだという話も聞く。どこかおかしい。おかしいのは我々(消費者価格)の方ではないのか?
価格は市場が決めている。市場に任せてうまく行かないのなら、市場や経済システムを改善すべきではないのか?
* 不平等
今の経済でおかしなことはたくさんある。富めるものはさらに富み、そうでない者との格差がどんどん開いて、不平等はかつてない水準になった。不平等の話は、この本にも出てくる。ある水準までは、経済的成長が幸福に貢献するけれど、一定水準からずれるという話だ。次のグラフを見て欲しい。
図4 図5
2枚の図は、社会問題の発生率(平均余命、識字率、子供の死亡率、殺人発生率、受刑者の総数、10代での妊娠、不況、社会的信頼、肥満、薬物およびアルコール依存症、社会の流動性・非流動性)に関する同じデータを、(図4)一人あたり総生産(GDP類似指標)と(図5)不平等さとの関係で見たものだ。一人あたりGNPでは見えなかった関係が、不平等さとの関係では明白に見えて来る。自分はこの図を見て、呆気に取られた。そうか、不平等が問題なんだ!と腑に落ちた瞬間だ。
格差が問題だ、不平等が問題だと言われても、言葉だけだとピンと来なかった。この図5の1枚で頭を殴られたような気分になった。
さらに本によると、不平等が大きくなり過ぎると、裕福な人々も苦しむのだと言う。貧しい者も富める者も、全員が不幸になるなら、一体何のために我々は格差を生んでいる(格差が生まれるシステムを続けている)のか分からない。
よく考えてみればその通りかもしれない。アメリカのように治安の悪い社会では安心して暮らせない。格差が開きすぎると社会の色んなことが信頼できなくなる。格差の大きさは、自分が転落した時のギャップが大きいということだ。勝者皆取り社会は、参加している全員に負荷がかかる。格差社会を生きること自体がストレスなのだ。
これも今のシステムを続けるとそうなるから現状があるし、今のままなら格差が開く方向にしか変化しない。システムを変えるべきだろう。
誰のためにもならないチキンレースを、何故続けているのか?少しずつ皆が譲って、皆が余裕を持って、皆が安心して暮らせる社会、それを成立させるようなシステムに出来ないのだろうか?
* GDPの再考
そのためのヒントはどこにあるのだろうか?著者はそのヒントも提示している。GDPの再考だ。GDP(全てを価格にして計上する仕組み)は、1932年の不況の最中のアメリカで、「アメリカはどれくらい多くの『物』を作ることが出来るか?」という問いに応える形で考案された。つまり工業向けの指標、物が足りない時代に物をたくさん作れることが幸福だった時代の指標なのだ。GDPは戦時における国力の優れた指標だったが、サービス経済の時代には矛盾が噴出している。時代に合わなくなっているのだ。
工業の比重が小さくなったということの他に、フロンティアが無くなって、経済活動が飽和しているというのも大きい。飽和経済の中で、重箱の隅を突くようなことを皆やっていて、金融をいじったり情報をいじったりしているけど、人間の幸福という観点から見ればどこか歪んだ活動なのだ。飽和経済時代の重箱の隅。
さて話はGDPに戻って、取引された価格(付加価値)の総和で測るというのは、市場の都合(需要量と供給量のその時々のマッチング)が強く出過ぎているように思う。
それに価格は、多数ある指標を一つの値に単純化し過ぎている。当然そこで抜け落ちる情報がある。この単純化ゆえに、全く性格の異なる複数の要素間の比較が出来るのではあるが、それにしても。
著者は言う、必要なのは、新しい計器盤であると。たしかに計器盤と呼ぶのがしっくり来る。世の中を調整する指標(の束)であって、取引価格でなくてもよい。
ベーシックインカムで労働者の収入を手当して、市場の調整機能は別と考えるのも一理ある。
計画経済は歴史的に失敗だったから、調整機能のない経済は駄目だということは皆分かっていると思う。絶えざる変化の蓄積がもたらす進歩の恩恵も大きい。変化のシグナルを送るようなシステムでないといけない。調整機能、どちらの方向の変化が好ましいかというシグナルそのものではダメなのか?変化を導ける指標であればよい。価格に単純化する前の物量の情報のまま。
これまた直近に読んだ本だが、一物一価を否定して、そうでない経済活動があり得るというイメージを描いた『22世紀の資本主義』の発想は、こういう所から出て来たのではないだろうか。著者は経済学者ゆえに、今の経済では無理があると思ったのではないかと。
さて変化を導く指標。変化の方向性を教えてくれる指標。ブルクマンは「人生を価値あるものにするため」の数々の指標を備えた計器盤と言っている。「人生を価値あるものにするため」はいかにもヨーロッパの個人主義という気がする。自分の自然な発想では「社会を良い方向に変えるため」の調整機能。「個人」より「社会」である。嗚呼日本人。
ベーシックインカムというのは、労働で食っていくという制約から人間を解放して、変化や調整機能は「人間の意思」に任せるということなのかもしれない。目的が「人生を価値あるものにするため」ならそれでよいのかもしれない。
いや、その時生産活動はどうなっているんだ、皆が暮らせるだけの物量が回るのか、調整機能はどうするんだ、という疑問は残る。大きなテーマだろう。自分がマクロ経済モデリングを齧った人間だからこう思うのかもしれない。
* 持続可能な社会に変わるインセンティブ
ここで、ベーシックインカムに問題意識を持って以来温めてきたアイディアを書く。「本当に我々は必需品に今の予算しか出せないくらい貧しいのだろうか?もっと出せるし、出すべきじゃないだろうか。」「おかしいのは我々(消費者価格)の方ではないのか?」に応えて考えたものだ。
ベーシックインカムで必需品の購入に困らないくらいのお金を配って、環境にも人にも社会にもよい経済活動の商品やサービスを、持続可能な価格で購入することに、インセンティブを与えられないだろうか?例えば、持続可能な購入が増えるほど、次にもらえるインカムが増えるとか。生涯継続してもらえるインカム(つまり年金みたいなもの)に繋がるのなら、人は高くてもそちらを選ぶのではないか。それなら、持続可能な経済活動の供給も安定して増えるし、物価の安定(安定したインフレ)にもつながるだろう。
このアイディアは、MMTを通して学んだ「財政政策は供給が問題」という理解に基づいている。供給の不足がインフレであるが、安定したインフレの流れを政策的に作って、それによって市場の揺れを吸収してしまうようなイメージだ。
計画的なインフレ率になるようにベーシックインカムを配って需要を発生させる(あるいは潜在需要を有効需要化する)。そして持続可能な供給が段階的に増えて、市場を占有していく。インフレによって、減価する紙幣や負の利子と同じ効果を出して、経済の回転率を高めることも考えられる。
* 国境を開く
ここで終わりにすると収まりが良いのだけれど、本当に蛇足だけど、本書の提案の三本柱の第3である「国境を開く」について書く。ちなみに1つめのベーシックインカムについては賛成(いつかは実現すると感じていて、実現に至る過程を考えたいという積極度で賛成)、2つめの労働時間短縮も同じ積極度で賛成、3つめは綺麗事ではないという意見だ。
国境の解放は、今となっては夢物語みたいに聞こえる。ウクライナ侵攻やISISを経由した後の目線で見ると、悪用が怖い。個々人の活動の積み重ねなら問題は小さい(この本が書かれた過去41年間は小さかった)のはその通りなんだろうけど、なんらかの権力や既得権益が、移民を誘導的に利用して、政治的に利用するための事件を起こしたり、スパイや戦闘員を送り込んだり、将来の紛争のタネを仕込んだりすることを、2025年の我々は目撃した直後であるから。
仮に上記の可能性を除外して、純粋に経済の問題として考えた時、国境解放ってどうなんだろう。これはEUによる経験の効果をちゃんと調べてみたいところである。労働市場の解放という視点ではニュースもあまり聞こえて来なかった。便りが無いのは、問題が無いということなのか、成果が無いということなのか。通貨統一の影響と切り分けられなくて、評価は難しそうである。
労働市場に新たに労働者(兼消費者)が一単位増えた場合の効果(限界参入者効果?)みたいなものも気になる。そういう概念はないのだろうか?
宿題>労働市場に新たに労働者(兼消費者)が増えた場合の効果(限界参入者効果?) を調べる。
乗数効果の理解もなんだか曖昧だし、この辺は、一度ちゃんと調べないといけないなァ。
宿題>乗数効果、仕事が一単位増えた場合の波及効果の理論と実証研究を調べる。
* 終わりに
しかし、読みながら考えさせてくれるという点で、本当によい本だった。読みながら、自分が何をしたいのか考えさせてくれた。これまで漠然と考えていたことについて、自分は「飽和経済の時代に人間を幸せにする方策」を考えたいということに気づかせてくれた。
ここから読書メモ(本書からの抜粋)
読書メモ>隷属なき道
AIとの競争に勝つベーシックインカムと一日三時間労働
ルドガー・ブレグマン
ミンカム 1973年の実験 カナダ ドーフィン
労働時間微増 入院期間8.5%減 家庭内暴力の減少 メンタルヘルス改善 町全体を健康にした
ヘルスケアにかかる公共支出を削減
アメリカの実験8500人
(1)人々の労働量は著しく減少するか?NO 育児期の母親が減少 教育期間が伸びる
(2)費用がかかり過ぎるか?NO
(3)政治的に実行不可能?YES
1968年ニクソン政権 家族支援計画FAP 下院通過 上院で却下
GDPの1%以下 全世界1日2.5ドル
アラスカのBI 年1000ドル 石油収益を財源
宝くじ当選者、受刑者も仕事を望む
稼げる仕事に就いても取消・減額されない
福祉の罠から自由になり、成長と昇進の機会がある仕事を求められる
無駄遣いや仕事をチェックする福祉の方が非効率 煩雑な手続・人員 疑念と屈辱のシステム
「働かざるもの食うべからず」不平等放置の言い訳に使われている
フリーマネー>犯罪、小児死亡率、栄養失調、10代の妊娠、無断欠席の減少、成績の向上、経済成長、男女平等の改善をもたらす
貧しい人々はお金を無駄にしない。フリーマネーは当事者が必要なものを買うのに使える。
チェロキー1997年の経験>カジノ>街の収益に>貧困削減>子供の精神疾患が改善、犯罪減少、教育期間増 労働時間は変化無し
分配コストは、福祉費用の節約・生涯賃金の増加・州の税収増加で元が取れる
貧困はIQを13-14ポイント下げる
インドのサトウキビ農家の実験 収穫直後と他期で変わる
教育投資は貧困線を超えないと効果が無い
申請で振るい落とされる 逆選別的に働く
p69図5 社会状況(平均寿命、識字率、子供死亡率、殺人発生率、受刑者総数、10代の妊娠、不況、社会的信頼、肥満、薬物アルコール依存、社会の流動性)は、1人あたりGDPと無関係
不平等を指標にすると、綺麗な相関が見える
格差社会に生きること自体がストレス
不信や不安 転落
富の平等 機会の均等 不平等が進むと流動性が下がる
過度の不平等は経済成長を妨げる
不平等が大きくなり過ぎると富者も苦しむ
裕福な国でも、収入の不均衡は、すべての人の暮らしを不幸にする
重商主義 繁栄=>輸出=>より低い賃金 奴隷・大勢の勤勉な貧しい人々 国の競争力
富がより多くの富を呼ぶ 乗数効果 フォード
ユタ州2005年 ホームレス>無料の家を与えた方が州にとって経済的にプラス
社会福祉課・警察・法廷等の費用1.7万ドル/人
アパートとカウンセリング代1.1万ドル/人
Housing first戦略 2005オランダ 排除コストをアパート代にして、投入金額の2倍の利益
救済は路上生活より望ましく、コストが安い
空き家 ホームレスの2倍@ヨーロッパ 5倍@アメリカ
欠乏の心理>長期的な視野の喪失
愚かな判断に追い込まれる環境
貧困によるIQロス13-14ポイント
子供の貧困対策は元が取れる
政府の補助>申請の障壁
過度の不平等は経済成長の妨げ
不平等が大きくなり過ぎると富者も苦しむ
Housing first戦略 ユタ州74%ホームレス削減、州の財政負担も軽減 オランダ対策費用と比べて利益2〜3倍
スピーナムランド制度 1795年イギリス
ニクソンに渡された報告書 ポランニー大転換 「BIで働かなくなる」の原型
救貧法 飢えと貧困は減少 革命の芽対策
反対意見「貧弱を労働に駆り立て奮起させるのは飢えのみ」
失敗の報告書(英王立委員会)は捏造 データ収集前に書かれた 制度廃止後の改善>分かりやす過ぎる
マルクス 雇用主が賃金を安く抑える手段として評価(実際には労働力確保のために賃下げは起こらなかった)
「スピーナムランド失敗」伝説>自由市場の後押し、福祉国家の否定、福祉削減
実際には景気拡大、労働者の収入保障・流動性>イギリス農業の効率を高めた
現行の福祉は貧困の罠・煩雑な手続・監視・高コスト・非効率
福祉は最貧層には当たらず、高齢者に配される
貧困が減ると子供の死亡率が下がり、人口増加率が緩やかになる
リカードの過ち 金本位制に戻す@イギリス
GDP/GNP 付加価値の総計
災害によっても上がる 窓を割る>修理代>GDP増加
家事(減)と賃金労働(増)
闇経済 ギリシャ25% イタリア20%
家事等の無償労働 イギリス+74% ハンガリー+37%
コンピュータ>進化より価格
精神疾患・肥満・汚染・犯罪でも増加
エッセンシャルな職業・業界ほどGDPが下がる
金融活動の伸長>本当に貢献しているのか?
富を測定したい>収穫高>賃金>国民所得>価格
問「アメリカはどれくらい多くの物を作ることが出来るか?」>クズネッツ>GDP考案
ブータン国民総幸福量 文化と福祉 歌と踊り
幸福の定量化?
GPI 真の進歩指標
ISEW 持続可能な経済福祉指標
汚染、犯罪、不平等、ボランティア活動
地球幸福度指数 エコロジカル・フットプリント
国が豊かになるほど、その富を測るのは難しい
工業製品 生産性の改善と相性が良い
労働集約的サービス 効率を上げるのが難しい
北欧 生産性の向上が難しい部門に助成金
ボーモルのコスト病 生産性の向上しにくい分野は高くつく
工業部門の効率化によってサービスに時間をかけられる>恩恵
人生を価値のあるものにするもの:お金と成長、社会奉仕、仕事、知識、社会的繋がり、時間
クズネッツの警告>単純化 軍事・広告・金融を含めないこと
成長とは何か?進歩とは何か?人生を真に価値あるものにするのは何なのか?
情報部門がGDPに占める割合は(インターネット以前の)25年前から変わっていない
GDPは「アメリカはどれくらい多くの『物』を作ることが出来るか?」という問いに応えて考案された。つまり工業向け。
GDPは戦時における国力の優れた指標だったが、サービス経済の時代には矛盾がある。新しい指標が必要。新しい計器盤。
5章感想>取引された価格(付加価値)の総和で測るというのは、市場の都合(需要量と供給量のその時々のマッチング)が強く出過ぎているように思う。
※価格は、多数ある指標を一つの値に単純化し過ぎている(当然そこで抜け落ちる情報がある)。この単純化で、全く性格の異なる複数の要素間の比較が出来る。
サービスと同様に、農業、他の1次産業でも矛盾が噴出している。補助金が無いと継続出来ない、生きていける収穫量を得るために自然を収奪・汚染し過ぎるなど。
一次産業、三次産業では、工業製品のように柔軟な調整が出来ない。効率化も限界がある。一次産業は長期的な時間軸で行わないといけないし、(従事者の働きではなく)自然の都合で量が加減する。三次産業は従事者の数と時間が直結する。
必要なのは、新しい計器盤。たしかに計器盤と呼ぶのがしっくり来る。
世の中を調整する指標(の束)であって、取引価格でなくてもよい。
BIで労働者の収入を手当して、調整機能は別と考えるのも一理ある。
計画経済はNGだから、調整機能のない経済はNG。絶えざる変化の蓄積がもたらす進歩の恩恵も大きい。
調整機能、どの変化が好ましいかというシグナルそのものではダメなのか?変化を導けるもの(指標)であればよい。価格に落とし込む前の生の情報のまま。
(※22世紀の資本主義の発想はこういう所から出て来たのか?)
変化を導く指標。変化の方向性を教えてくれる指標。
ブルクマンは「人生を価値あるものにするため」の数々の指標を備えた計器盤と言っている。「人生を価値あるものにするため」はいかにもヨーロッパの個人主義という気がする。
自分の自然な発想では「社会を良い方向に変えるため」の調整機能。「個人」より「社会」である。嗚呼日本人。
BIというのは、労働で食っていくという制約から人間を解放して、変化や調整機能は「人間の意思」に任せるということなのかもしれない。目的が「人生を価値あるものにするため」ならそれでよいのかもしれない。
感想ここまで。
第6章 ケインズが予測した週15時間労働の時代
1850年頃 産業革命の繁栄が労働者階級に浸透
1855 メルボルンの石屋 8時間労働
19世紀末 週60時間労働
1926 フォード週5日労働 生産性向上と余暇の消費
1960年代 楽観的な余暇予測
1980- 労働時間の短縮の終わり 女性解放
経済成長が生み出す余暇と消費
1930-1985 ケロッグ 週6時間で生産性向上(社外と同様にするため終わった)
1974 イギリス 週3日生産高9%減 エネルギー不足により
幸福度を高めるには労働と余暇を減らす
労働時間の短縮>CO2半減?
労働時間が短い国ほどフットプリントが少ない
事故 長時間労働 ミス
失業 ワークシェアリング
女性解放 男性の家事負担 男性の働き方
高齢化社会 労働時間の再分配
格差の大きい国は労働時間が長い 貧しい人は長時間労働 豊かな人は休みが高価につく 自分の需要
ストレスと失業率
かつて余暇だった芸術・スポーツ・科学・看護・慈善が、仕事になった
世界中の人が労働時間の短縮を望んでいる 購買力より余暇を選択する
仕事を減らすことを政治理念にする
雇用主にとってのインセンティブ
2人のパートタイムより1人の正社員(の方が安い現状)
19世紀には、庶民には投票権や適切な賃金や余暇を扱う能力が無いと思われていた。長時間労働をしないと酒に溺れると。
7章 優秀な人間が、銀行家ではなく研究者を選べば
最も高額の給料を得ているのは、富を移転するだけで、有形の価値を生み出さない人 富の移転者
エッセンシャルな労働 ストライキで皆が困るような性質の仕事
供給が多ければ価格が下がる 生産性の逆
農業が進歩すればするほど、それに金を出さなくなる 食糧は安価になった
進歩のパラドックス
第三世界の労働者が支える消費
工業と農業の従事者は減った
高給のブルシットジョブ
自分の仕事をくだらないと感じている
管理職が多い国ほど、生産性と革新性が低い
医療・教育・消防・警察 有益だが高給でない
有益さ・品質・革新は無視 重視されるのは儲け
富を破壊するだけの複雑な金融製品の開発
富の創造ではなく富の移動
株の保有期間 1970年は5年 2010年は5日
株の取引税>瞬間的な株の売買を防ぐ
銀行が1ドル儲ける毎に60セントが失われる
研究者が1ドル儲ける毎に5ドル以上還元される
高額所得者に税金を課す>才能ある個人を、負の外部性を持つ職業から、正の外部性を持つ職業に再分配する
トレンド 租税回避地 発展途上国に損な役回り
明日の求人市場で雇用されるために、どのようなスキルを身につけるべきか?
トレンドの後追いではなく舵取りと創造性
手段より目的を重視し、有用性より善を好む
価値の創造
8章 AIとの競争には勝てない
時間と富の再分配 労働時間短縮とベーシックインカム
レオンチェフ 生産の最も重要な要因としての人間の役割が小さくなるのは避けられない
チップとコンテナが世界を狭くした 大量物流と資本移動と一人勝ちの世界
ロボットの開発と進出>構造的失業と不平等の拡大 機械と競い合う世界
ムーアの法則
カルドア「労働分配率と資本分配率が長期間でほぼ一定」 2/3が労働者 1/3が資本
GDPに占める労働の比率が減っている 58% 情報通信技術の進歩
Amazonが小売業を廃業に
小規模会計事務所が税金計算ソフトに駆逐される
世界が小さくなり、少数の者に寡占される
1960-2010年で企業の価値は2倍に、従業員は1/4に
ビジネスに必要な人間の数が減っている 少ない人間で利益を分配 格差と不平等
生産性は過去最高 雇用は減少
農業 1800-74% 1900-31% 2000-3%
グレート・デカップリング 生産性の伸びと雇用の伸び 一致していたが、2000頃から平均収入と雇用が減
筋力が機械に代わった時代
脳が機械に代わる時代 計算能力と知性
労働市場の両極化 中流の消滅
プレカリアート
ラッダイト1812 工場を襲撃して機械を破壊
新しい仕事の創造
機械化の利益の再分配 労働時間短縮とBI
社会が豊かになるほど、労働市場における富の分配はうまくいかなくなる>再分配
金銭・時間・課税(資本に対する)の再分配
ピケティ 資本利益率4-5% 成長率2% 財産に累進税
9章 国境を開くことで富は増大する
途上国支援のために50年間で5兆ドル 国境を開けば65兆ドル 世界総生産67〜147%成長で
何がもっともらしく「聞こえるか」
RCT無作為化比較対照試験 Randamized Controlled Trial
無料給食は就学期間を2.8年伸ばす 寄生虫駆除は2.9年
Ideology/Ignorance/Inertia
最も豊かな8%が世界の所得の半分 1%が世界の富の半分以上 15%が消費の72%(貧しい15%が1%)
不平等は階級から場所の問題へ
自国の国境内での不平等に怒り
購買力の差
国境を開くことは世界的な貧困との戦いにおける最も強力な武器になる
反論:テロ(少ない)・犯罪(環境が原因)・一体性(貧困・失業・差別が問題)・仕事を奪う(消費と需要が増えて雇用が増える)・賃金が下がる(影響なし〜微増)・怠惰(仕事を望む・福祉に制限を付ける)・帰還しない
自由な移住は努力目標
感想:国境の解放は、今となっては夢物語みたいに聞こえる。ウクライナ侵攻やISISを経由した後の目線で見ると、悪用が怖いという印象が大きい。個々人の活動の積み重ねなら問題は小さい(この本が書かれた過去41年間は小さかった)というのもその通りなんだろうけど、なんらかの権力や既得権益が、移民を誘導的に利用して、政治的に利用するための事件を起こしたり、スパイや戦闘員を送り込んだり(ウクライナ侵攻では初期の電撃戦でウクライナ各所に仕込まれたロシアの工作員が内部から支配する予定であったことを小泉悠氏の著書で読んだ)、将来の紛争のタネを仕込んだりすることを、2020年代の我々は目撃した直後であるから。むしろ著者に今ならどう考えるか聞いてみたいところである。
仮に上記の可能性を除外して、純粋に経済の問題として考えると、国境解放ってどうなんだろう。これはEUによる経験の効果をちゃんと調べてみたいところ。労働市場の解放という視点ではニュースもあまり聞こえて来なかった。便りが無いのは、問題が無いということなのか、成果が無いということなのか。通貨統一の問題等と切り分けられなくて、評価は難しそうである。
労働市場に新たに労働者(兼消費者)が増えた場合の効果(限界参加者効果?)みたいなものも気になる。そういう概念はないのだろうか?
乗数効果の理解もなんだか曖昧だし、この辺は、一度ちゃんと調べないといけないなァ。
宿題>労働市場に新たに労働者(兼消費者)が増えた場合の効果(限界参加者効果?) を調べる。
宿題>乗数効果、仕事が一単位増えた場合の波及効果の理論と実証研究を調べる。
感想ここまで
感想blogの名前 読書メモと思考と模索
10章 真実を見抜く一人の声が、集団の幻想を覚ます
フェスティンガー認知的不協和
世界観と現実の対立>現実の再調整を選び世界観を信じ続ける
高い教育を受けるほど信念は揺らぎにくくなる
衝撃(決定的な事件)によって一気に変わる
ツインタワー破壊事件とイスラム教徒の脅威
ソロモン・アッシュの実験 集団内で自分一人だけになると、簡単なことも正しく答えられなくなる Social Pressure 政治への影響 誰か一人「味方」がいれば、正しく答える(可能性が高まる)
2008リーマンショック 左派の支持が急落>新自由主義 ショック後も銀行準備金や銀行員の待遇は変わっていない>対案が無い
ハイエクとフリードマン>自由市場と民営化 石油ショック後のスタグフレーション(不況なのに物価が上がる)>ケインズ経済学で説明出来ない問題を予測していた 社会主義的な風潮の中で登場
人間のアイデアと信念が歴史を動かす原動力
誰にとっても、自分の信念が、今のそれ(?)と異なる状況を想像するのは非常に難しい>それ(that?)が何なのか分からない。信念?自分の信念が変わった後のことを想像することが難しい?
「ユートピア主義者になる勇気」を備えた忍耐強い思索家
アイデアは世界を変えてきたし、今後も変えるだろう。
ケインズ アイデアの他に世界を支配するものは(ほとんど)ない
終章 「負け犬の社会主義者」が忘れていること
奴隷制度の廃止、女性解放も、唱えられた当初は、正気の沙汰とは考えられていなかった
どうすれば、ユートピアを現実のものに出来るだろう?
現状を再確認する政治と、現状を打破して自由になるための政治
オヴァートンの窓 人々に許容され得る範囲
政策 一般的 理解できる 容認できる | 急進的 有り得ない
専門家に承認され、統計上支持する人が多く、法律になる可能性が高いアイデア
自分の言説を人々に許容される範囲に留めておかなければならない
非常にショッキングで破壊的なアイデア(囮)
比較して、穏当でまともに見えるアイデア(本命)
トランプ BJ ヘイト・ウィルダース オヴァートンの窓を(自分の主張まで)移動させる技
「ネオリベラルが論理、判断、統計のゲームを制し、左派に残されたのは感情だけ」
同情心に富み、現状の政策は不公平だと考えている 福祉国家の崩壊 屈服
何もかも反対だけ 対案が無い
殆どの人は勝つ方を好む
希望と進歩の物語
仕事の再定義 高い賃金を求めるのではなく、価値ある仕事
非現実的=現状を変えるつもりはない
BIの知名度 スイス国民投票>否決 女性の選挙権も同じ歴史(否決の12年後に可決)
外国人嫌悪ゼノフォビアと不平等に対する革新的な本物の解毒剤
新しいユートピア
一人ではない 連携しよう
図太くなろう 非現実的で無分別でとんでもない存在に
読書メモ>奇跡の経済教室【戦略編】
中野剛志
『全国民が読んだら歴史が変わる奇跡の経済教室【戦略編】』
MMTつながりで、中野剛志『全国民が読んだら歴史が変わる奇跡の経済教室【戦略編】』を読んだ。MMTの導入の上手さに脱帽。これ以上コンパクトに分かりやすく書くことは出来ないだろう。インフレ/デフレ経済の分析と処方箋も、これ以上ないくらい分かりやすく図式化されている。インフレ/デフレ経済で対策が逆なのに、経済が悪いという漠然とした理解でインフレ社会アメリカを見習う(つまり逆効果の)対策を推進してしまったところが、平成日本の悲劇。
後半は、著者の専門の政治思想ということで、日本のレントシーキングが概括される。
実は、自分はレント・シーキング活動を、自由な経済活動の結果というよりは、外国の工作(米に非ず)ではないかと疑っていたりする。思ったよりも外国の工作が入っているというのが最近気づいた事実なので、意識しすぎなのかもしれないが。
以下、自分が再読したい箇所の抜粋(または要約)と感想。
中野剛志
全国民が読んだら歴史が変わる
奇跡の経済教室【戦略編】
MMTのあり得ないほど分かりやすい教科書
信用創造 銀行の貸し出しは、資金量に制約を受けるのではない、借り手の返済能力に制約がある。
借り手の需要が足りなければ、財政出動をする。貨幣供給量が増える。量的緩和(マネタリー・ベースを増やす)だけでは貨幣供給量は増えない。
財政赤字は同額の民間貯蓄を生み出す。
財政赤字を拡大し続けるとインフレになる。インフレ率が赤字(デフレ)であれば、財政赤字が足りない。財政赤字の判断基準はインフレ率(物価上昇率)。平成日本の財政赤字は小さすぎた。
ローマー DSGEモデル(動学的確率論的一般均衡モデル)批判
一般均衡理論には、貨幣の効果が入っていない。
ゴードン アメ型成長戦略high road ムチ型成長戦略low road
アメリカのムチ型成長戦略 1980年代から
配当率(税引後利益に占める株主への配当の比率)は1970年代までは4割程度、2008年には8割超え
アメリカのGDPに占める家計の負債は、1980年以前は5割以下、2001年には76%、2007年には100%にまで増えた。
アメリカ経済における金融機関のGDP寄与度は1978年から30年間で、3.5%から5.9%へと伸びました。金融業界が保有する資産は、1980年にはGDP比で55%であったのが、2000年には95%にまで膨らんでいます。1980年から2005年までの間、非金融部門の利益の伸びは250%であったのに対し、金融部門の利益は800%も伸びています。資産バブルとバブル崩壊へ。2008年の世界金融危機でムチ型成長戦略は失敗が明らかになった。
日本のムチ型成長戦略〜構造改革なんかしちゃいけなかった。
アメ型では賃金が上昇するので、労働者は得をする。経済も成長する。格差も是正される。しかし、投資家や経営者の取り分はあまり大きくない。大投資家や経営者にとっては、「アメ型」より「ムチ型」の方が望ましい。
富裕層、投資家、経営者はインフレを非常に嫌がる。財政出動はインフレを起こす。財政出動により、需要不足が解消され、人手不足になると、労働組合の交渉力が強くなり、賃上げをせざるを得ない。
レント・シーキング活動 利権誘導
規制緩和の虚実
規制緩和、自由化、民営化は、ルールの「撤廃」ではなく、ルールの「変更」
市場が機能するためには規制が必要
日本は規制が多くも強くもないのに規制緩和をして、政府の介入を弱めた。
市場も政府が整備する制度で、規制の一種
「どんな規制や制度が望ましい結果をもたらすか」
レント・シーカーたちは、ルールや規制によって守られた特定の人々の利益を奪いたいと思った時には、その利益に「既得権益」というレッテルを貼り、あたかも不当な利益であるかのような印象操作をします。
「改革」は、既得権益をレント・シーカーた+に移しただけにすぎません。この「改革」によって、国民一般が豊かになったではありません。経済全体というパイはまったく大きくなっていない。単に、パイの分け方が、レント・シーカーたちに有利になるように変わっただけです。
既得権益を打破する「改革」では、経済は成長しないのです。
財政健全化こそが、少子化や人口減少の原因なのです。
元大蔵事務次官(1995年)の齋藤次郎氏「戦前生まれ115人から日本への遺言」の中で、政府の債務残高がGDP比で203%に達したことを踏まえて、こう書いています。
破産寸前と言われたギリシャの178%を上回る。終戦直後の国家破産というべき大インフレの時期さえ、203%であった。危機的状況と言える。
ギリシャが財政危機になってしまったのは、その国債がユーロ建てであって、自国通貨建てではないから
そして、終戦直後の財政赤字が問題だったのは、齋藤氏自身が言っているように「大インフレ」だったからです。しかし、平成の日本は、大インフレどころか、長期のデフレではないですか。
p142 与党審査 官庁の法案や予算案は、閣議決定をする前にすべて自由民主党の政務調査会と総務会の承認を得なければならない、事前協議
予測的対応>忖度
調整型官僚と族議員
吏員型官僚から改革型官僚へ 内閣人事局
改革派(を装ったレント・シーカー達) 古賀茂明「日本中枢の崩壊」
日本の政治が「官僚主導」という認識自体が間違い
規制緩和小委員会 宮内義彦
自己実現的予言 少子化>増税 銀行の取付破綻 黒人差別と低知能 内需停滞>外需依存
財政問題が精神論とすり替わる
(未来の国家予算を小さくする活動)
正の遺産 インフラ・技術開発・教育 (そのための国債)
負の遺産 デフレ 低成長 低需要=消費税
就業保証プログラムは雇用のバッファー調整弁として機能する Job Gurantee Program
「公的部門が社会的に許容可能な最低賃金で、希望する労働者を雇用し、働く場を与える」
不況時においては、失業者に雇用機会を与え、賃金の下落を阻止し、完全雇用を達成することができる
逆に、好況時においては、民間企業は、この「就業保証プログラム」から労働者を採用することで、インフレ圧力を緩和する
1997通貨危機後の韓国のムチ型構造改革、のちに日本が再現することに
外国資本と輸出の増加 内需の停滞 格差と貧困層の増加
民主政治 福祉の膨張+増税できない
ハンチントン 財政赤字と賃上げによる悪性インフレ
ブキャナン 憲法に均衡財政を規定すべき
センメルヴァイス反射
デフレや低インフレ時は財政赤字を拡大すべき
右派=保守的新自由主義
左派=進歩的新自由主義
MMTは反グローバル化/左派
「西洋諸国のどこの民主政治においても、専門家の意見や権威ある機関への人々の信頼は、地に堕ちている」
イギリスの移民の流入33万人(2015) 実質賃金8%低下 EU加盟で移民を拒否できない
NAFTAでUSのトウモロコシがメキシコに流れて農民が失業>USへの大量移民
グローバル化/国民国家/民主政治のトリレンマ 国民国家は無くせないのでグローバル化と民主政治の対立
ポピュリズム=反グローバル化 > 民主政治の求め
EU マーストリヒト条約 財政赤字GDP3%以下 政府債務GDP60%以下 ユーロの貨幣価値維持のため
経済をデフレ気味に保つ 失業と賃金を財政政策で対策できない 主権制限
2008金融危機 高い失業率を解決できない状況
立憲政治には反民主的な側面がある
憲法は民主政治から基本的人権を守る
国際条約の悪用 恒常的な経済政策の制限のために利用すべきでない
インフレ恐怖症 貨幣の価値が無くなる瞬間「もし、人々が通貨に対する信頼を失い、通貨の価値を保証するものがなくなってしまったら、どうしょう」
MMT 政府の徴税が貨幣のニーズを生む
不完全な民主政治vs完璧な市場メカニズム
著者の出身(政治思想)が色濃い分析
物価の調整機能 中央銀行の独立性
財政主導の経済運営
理念は分かるが、量的にうまく行くのか?
景気の調整としては良いのか?
財務省の「財政健全化」信仰 一時期成功した(時代に合っていた) 組織の目的となってしまって、デフレ時代にも止められない
アセモグル『技術革新と不平等の1000年史』第2章以降の抜粋
第1章とまとめはこちら。
p100
黄熱病とマラリア・・・レセップスは、こうしたリスクについてはっきりと警告されていた。ところが、中米における健康被害のあらゆる報告を自分の敵対者が流した偽情報とみなすことを選んだ。
p123
2007年から2008年にかけての世界金融危機・・・状況が悪化すると同じ企業が倒産に直面するほど巨額の損失を負った。「大きすぎて潰せない」というカードが切られた・・・誰も罰せられず、予防の仕組みも排除されていた。アジェンダ設定の力
p126
レセップスがパナマ運河を特定の設計に固執し、労働者にとって過酷な条件下で海面式運河を建設・・・自らの経済的利益のためではなかった。・・・利己的な計算からではなかった。科学的知識とテクノロジーを公益のために利用する正しい方法だと心から確信していた。自分自身が信じるビジョンの力
p129
南北戦争後に黒人の権利が制限されていった過程・・・こうした強制力を支え、補完していたのは、南部の人種差別主義者がほかの国民をうまく説得し、思い込ませた・・・黒人は組織的に不利な立場におかれ、差別され、強制的に抑圧されても構わないのだ
p136
高価な車と安価な車を運転するドライバーの交通行動・・・割り込み行動:高価な車30%以上、安価な車5%・・・横断歩道を渡ろうとする歩行者への割り込み(比較実験):高価な車45%以上、安価な車なし・・・富裕層や社会的地位の高い人ほど、不正を働く傾向が強い(社会心理学者ケルトナー)
p139
民主化を達成した国々では、民主化後の20~30年で一人当たりGDPが20~30%増加し、それに伴って教育や医療への投資が大幅に増える。
耳障りな声こそ、民主主義の最大の強み(かもしれない)。フランスの哲学者コンドルセ「陪審定理」・・・多様性は、民主主義の強さの本質でもある。
「テクノクラートへの委任」と正反対・・・金融危機の銀行家の救済と免責に至ったアプローチ・・・民主主義の真の利点は、偏狭なビジョンの専制を避ける点にある。
p155
フランスの場合、1100年から1250年までの宗教施設の建設に総生産高の20%が費やされていた(※筆者は否定トーンだが、「最低限の生きていくだけ」の生産からの脱却では?搾り取られる農民の視点に立てば残酷な脱却かもしれないが。)
p160
新しい機械の導入とそれによる生産性の高まりが、どうして農民の一層の搾取と生活水準の低下につながるのだろう。・・・追加の労働者を雇えない・・・生産力の上がったテクノロジーにあわせて労働時間も多くしたい。・・・強制を一層強めて既存の労働者からさらに労働力を搾り取る。・・・生産性の向上は土地所有者に利をもたらすが、・・・労働者は強制のもと一層長く働かされる。
p168
歴史的証拠は、マルサスの罠が自然法則ではなかったことを強く示唆しており、実際にマルサスの罠があったとしたら、それは特定の政治的・経済的な体制に依拠する。中世ヨーロッパで人口の大半が貧困にあえぎ、進歩を享受できなかったのは、序列社会と、それに伴う不公平、強制、そしてテクノロジーの不均衡な導入過程があったためだった。
p172
初期の中央集権国家の支配下で、穀物栽培に専業で従事する人々のほとんどは、狩猟採集をしていた祖先よりも断然ひどい暮らしを送っていた・・・狩猟採集民は一日に五時間ほど働いて、さまざまな種類の植物と十分な量の肉を食べ、健康的な生活を送り、平均寿命は21歳から37歳の間だった。
一方、定住して穀物を育てるようになった農民は、その二倍の一日一〇時間以上は働いていたもの
一方、定住して穀物を育てるようになった農民は、その二倍の一日一〇時間以上は働いていたものと推測される。農耕という仕事そのものもきつく、とくに穀物が主要作物となってからは負担が増した。また、完全な定住が果たされる前に比べて食生活が悪化していたことを示唆する証拠も無数にある。結果として、農民は狩猟採集民より身長が平均一〇センチから一三センチほど低く、骨格にも損傷が多く、歯の状態もひどく悪かった。感染症にかかることも多く、狩猟採集民より若くして死んだ。初期の農民の平均寿命は一九歳前後だったと推定される。
p180
ヤング・・・既得権益者の代表者になった・・・伝統的な権利を排斥して抵抗する者を黙らせることが進歩にとって必要・・・ひとたび財産を剝ぎ取ってしまえば、地主はより確実に貧しい農民を安価な労働力の供給減にできる・・・囲い込みを支持していた頃のヤングは専門家として高く評価され、イギリスの既得権益層から褒めたたえられていた。だがヤングが方向転換するとともに事情は一変・・・地主は自分たちがどういう結論を聞きたいかを知っていて、ヤングがその意見を言ってくれているときは彼を大事にし、ヤングが考えを改めると途端に彼を黙らせた。
p184
テクノロジーを介した農業近代化は、地方の貧しい農民からなにもかもを取り上げる口実になった。しかしこの収奪が、一八世紀後半のイギリスで切実に必要とされていた生産性の向上にどれだけ役立ったのか。これについての一致した見解はなく、生産性の向上は皆無だったという見方から、生産高はかなり上がったという見方までさまざまだ。いずれにしても、不平等が拡大して、持っていた土地を囲い込まれた者が敗者となったのは疑いない。
p187
奴隷の回想によれば、綿花の価格が上がると酷使がいっそうひどくなったという。「イギリスの市場で価格が上がると、一ボンドにつきたった二分の一ファージングの値上がりでも、哀れな奴隷はただちにその影響を感じる。いっそう過酷に働かされ、いっそう鞭打ちが常態化するからだ」
p188
ハモンド「絶対的善」・・・しかし[奴隷制は]まったく悪いものではありません。それどころか、私はこれこそ、神がわれわれの栄えある地域に与えたもうたあらゆる祝福のなかでも最高にありがたいものだと思っています。これがなかったら、われわれの肥沃な土壌と実りに適した気候も、まったくの宝の持ち腐れになっていたでしょう。われわれがこれをありがたくいただいてきた短期間の歴史が、この南部の地を、豊かで非凡で礼儀正しいところとして有名にしたのです。
はっきり言いますが、一つの階級として、地球上にこれ以上に幸せで満ち足りた集団はありません。私は彼らに囲まれた環境で生まれ育ちましたが、私の知識と経験の及ぶ限りから言って、彼らが幸せでないわけがないのです。課される仕事は軽く、衣服も食事も十分に与えられ––われわれの州はむろん、おそらくほかの州も含めて、この連邦だけは別としても、それ以外のどの国の自由労働者よりもはるかによい扱いを受けており–生命と身柄は法によって守られ、どんな病気にかかって苦しんでも懇切丁寧な治療によって緩和され、家族内の愛情も壊されることなく大事にされ––少なくとも私の知る限り、細心の配慮をもって扱われているのです。
p191
スターリンは集団化を機械化とひとまとめにして遂行しなければならないと考えており、その点で、アメリカをロールモデルと見なしていた。土壌と気候条件がソ連の一部とよく似ていたアメリカ中西
部では、農業がちょうど急速な機械化のさなかにあり、生産性が目覚ましく向上しているところだった。スターリンは穀物を輸出してトラクターやコンバインなどの機械類を西側から買い入れる必要があったため、アメリカがやっていた機械化はまさに手本にしたい先例だった。
だが、この集団化のプロセスはおそろしく破壊的で、飢gと家畜の全滅を呼び起こした。消費に回せる生産物(総生産量から作付け用種子と家畜飼料にする分を引いたもの)は、一九二八年から一九三二年のあいだに二一パーセントも減少した。多少の回復はあったが、結局のところ農業総生産高は一九二八年から一九四〇年までで一〇パーセントしか増えなかった。そしてその大部分は、ソヴィエト管理下の中央アジア地域での灌溉により綿花生産が増大した結果だった。
一九三〇年代末の農業総生産量は集団化がなされていなければ、主に畜産面での数字の増加によって、二九パーセントから四六パーセントは高かったのではないかと見られている。しかし穀物の「売り上げ」––という国家への強制的な引き渡しの婉曲表現––は、一九二八年時点に比べて一九三九年には八九パーセント増となっていた。
p195
農業の変わり目を決定的に示すエピソードの多くにおいて、利益ははるかに狭い範囲でしか共有さなかった。れていなかった。このときに急速な変化の幕を切って落とすのはエリート層で、たいていそのプロセスは進歩の名のもとに進められた。とはいえ急速な変化が起こるとき、そこに公益という明らかな概念が存在していることはめったになく、あるのは新しいテクノロジーを先頭に立って使う人びとにとっての利益だけだった。こうした変化はだいたいにおいて、残りの人びとにほとんど利益をもたらさなかった。
p197
工業化の時代ならではの特徴は、大勢の人間を工場や都心といった一カ所に集中させて、労働者のあいだに新しい願望を生み出し、農業社会では生まれなかったような類いの対抗勢力の台頭を許しはじめたことだ。
p220
なぜイギリスなのか・・・地理、文化(宗教と生来の起業家精神を含む)、天然資源、経済的要因、および政府政策・・・
ここでなにより押さえておきたいのは、労働力を節約するテクノロジーの導入が断然魅力的になるのは賃金が高いときだということだ。その場合、新しいテクノロジーを使うことによって費用の大幅な削減を確保できるからである。一七〇〇年代半ばの時点で、イギリスの一部の地域、とくにロンドンでは、ほぼ全世界のどこよりも賃金が高くなっていた。しかし、その点でイギリスは特別だったわけでもない。オランダや、フランスの一部の商業色が強いところでも、同じように賃金は高かった。
いずれにしても、労働力の費用はイギリスの工業化の主要な推進力だったというよりも、その一因であった可能性のほうがずっと高い。繊維産業で生産性の向上がついに始まったとき、その伸びはまさしく目覚ましかった。一人当たりの生産量が一〇倍になり、やがて一〇〇倍にもなったのである。
p231
産業のイノヴェーションには一群の新しい人びとの台頭が不可欠だった。そしてなにより重要なこととして、その人びとは機知に富み、上を目指して必死に富を得ようとする人でなければならず、社会のほうも、彼らにそれを許す社会でなくてはならなかった。彼らが夢を見られたのも、夢を大きく羽ばたかせられたのも、イギリスの封建社会が衰退に向かっていたからこそだった。
封建制はほかのヨーロッパ諸国でも衰退していたが、イギリスほど強く秩序に抗う動きは見られなかった。フランス、ドイツ、スウェーデンでは、農民反乱が起こり、新しい哲学的思想も生まれてい
一九世紀半ばには、何千何万という中間身分のイギリス人が、テクノロジーを操る専門能力と起素家精神を通じて自分の地位を大幅に上げられるという考えを当然とするようになっていた。イギリバ以外の西欧全般にも同じような変化はあり、社会的階層制が次第に緩んで、野心的な男性が(およ家父長制の時代にはなかなか難しかったが、ごく一部の女性も)富や地位を求めるようにはなっていた。しかし当時、これほど多くの中流階級の人びとが既存の社会的階層制を突き破ろうとしていた!
これは、イギリスを除いて世界中のどこにも見られない。この中流 層こそが、一八世紀と一九世紀の大半を通じてイギリスで起こったイノヴェーションと、新しいテクノロジーの導入にとっての決定的な存在だった。
そう考えると、中国に関しても適切な見方が思いつく。確かに中国は科学の画期的な躍進を経験し、工業化に必要なほかのいくつかの前提条件も備えていたかもしれないが、新しい革新的な人びとが出てきて既成の生産組織のあり方や既存の階層制に抗うのを促すような、適切な制度構造を欠いていた。
p240
急速に変化していた一八世紀のイギリス経済では、富は土地所有だけに結びついていたのではない。商売を通じてでも工場建設によってでも金は儲けられ、金が儲かればおのずと社会的地位がついてきた。この比較的流動性の高い環境では、出自の地味な野心家の多くにとって、社会体系をまるごと転覆させようとするよりも、適度に修正された既存の秩序の枠内で成功を目指すほうが自然なことだった。
生産性バンドワゴンが機能するには、二つの前提条件が必要となる。労働者の限界生産性の向上と、労働者の十分な交渉力だ。どちらの要因も、イギリス産業革命の最初の一〇〇年間はほぼ欠けていたが、一八四〇年代以降は順調に発展しはじめた。
p274
アメリカに移住してきた数少ない熟練工は、祖国よりも高い賃金と大きな交渉力を手にしていた。熟練労働者のコストがこのように高かったため、アメリカの発明は往々にして、オートメーションだけでなく、熟練度が低い労働者の生産性を上げる方法を見出すことを優先していた。
アセモグル『技術革新と不平等の1000年史』 読んだ気分になれる(かもしれない)書評と抜粋
ダロン・アセモグル
技術革新と不平等の1000年史
Power and Progress
前著 収奪的extractive/包括的(包摂的)inclusive
書評 本書は、テクノロジーの進化と人間社会の歴史を概観したうえで、現在のAIの進化を懸念する。
スエズ運河の成功者が成功したビジョンをパナマ運河に持ち込んで災害級の失敗をしたことを踏まえ、現在成功している情報技術の進歩に共通の未来が待ち受けていることを案じる。
農業テクノロジーの長い進歩の歴史において技術の進歩が労働者の利益に結び付かなかったこと、その背景には小作農の政治的・社会的な力の欠如があった。
産業革命で中流層が育って、やがて労働者への分配と賃金上昇に結び付いたが、そこには政治経済の制度的変化があった。
現代の情報技術の変化は、再び農業テクノロジーの変化を繰り返しているように見える。テクノロジーの方向性が、労働者に新たな仕事や機会を提供することから、仕事の自動化や人件費削減を最優先することへと変わった。労働者、労働団体、政府の規制などによる意見や圧力が減じた結果でもある。
AIは経済的不平等を推し進め、監視を通じて労働者の力を奪っている。目下AIが歩んでいる道は、経済にとっても民主主義にとっても悪い方向である。
著者は、この有害トレンドを反転させるため、物語を変え、対抗勢力を築き、技術、規制、政策に関する解決策を練り上げることを提案している。
プロローグー 進歩とは何か
第一章 テクノロジーを支配する
第二章 運河のビジョン
第三章 説得する力
第四章 不幸の種を育てる
第五章 中流層の革命
第六章 進歩の犠牲者
第七章 争い多き道
第八章 デジタル・ダメージ
第九章 人工闘争
第一〇章 民主主義の崩壊
第一一章 テクノロジーの方向転換
第1章からの抜粋
新たなテクノロジーが広範な繁栄をもたらすということに関して、自動的な部分はなにもない。新たなテクノロジーが広範な繁栄をもたらすか否かは、経済的、社会的、政治的な選択にかかっている。
基本的な三つの問い
新たな機械や生産技術が賃金を上昇させる時期は何によって決まるか?
よりよい未来の構築に向けてテクノロジーの方向性を変えるにはなにが必要か?
テクノロジー分野の起業家や先見者のあいだで、とりわけ人工知能にまつわる新たな熱狂に関して、現在の考え方がより気がかりな別の方向に向かっているのはなぜか?
「生産性バンドワゴン」・・・生産性を高める新しい機械や生産方法は賃金をも上昇させるという主張だ。テクノロジーの進歩につれて、バンドワゴン〔パレードの先頭を進む楽隊車〕が、起業家や資本家だけでなくあらゆる人を引っ張っていく
生産性が向上したからといって、労働者への需要が増えるとは限らない(巻末の解説と出典を参照)。
雇用主は、労働者一人当たりの平均生産量に基づいて雇用を増やすというインセンティヴを持っているわけではない。企業にとって重要なのは限界生産性だ。限界生産性とは、労働者が一人増えるおかげで、生産量が増大したり、サービスを提供できる顧客が増加したりすることでもたらされる追加的な寄与である。
産業用ロボットのような多くの新たなテクノロジーは、機械やアルゴリズムがこなす作業の範囲を拡大し、これらの作業に従事していた労働者に取って代わる。オートメーションによって平均生産性は向上するが、労働者の限界生産性が向上することはなく、むしろ低下する可能性さえある。
オートメーションに当てはまることは、多くの面でグローバリゼーションにも当てはまる。
過去数十年にわたり、事業の海外移転の巨大な波が押し寄せている。組み立てやカスタマーサービスといった生産タスクが、労働力の安い国々に移転されてきた。・・・先進工業国では、国内でその種の作業を担っていた労働者が職を奪われ、バンドワゴンが力強く走り出すことはなかった。
オートメーションやオフショアリングは生産性を高め、企業利益を増大させてきたが、アメリカをはじめとする先進国には、繁栄の共有と呼べるようなものはなにももたらさなかった。
労働者の限界生産性を高めるためにさらに重要なのは、新たな仕事を作り出すことだ。・・・自動車製造において多くの自動化が進められた・・・その一方で、大量生産方式と組み立てラインのおかげで、設計、技術、機械操作、事務といったさまざまな新しい仕事が生まれ、業界における労働者への需要も高まった。
ここ数十年のあいだに急成長した職業の多くーMRI放射線技師、ネットワークエンジニア、コンピューター支援機械オペレーター、ソフトウェアプログラマー、ITセキュリティ担当者、データアナリストなどーは、八〇年前には存在しなかった。銀行員、大学教授、会計士といった昔ながらの職業に就いている人たちでさえ、いまでは、第二次世界大戦前には存在しなかったさまざまな業務に取り組んでいる。
一つの産業における自動化は、コスト削減や生産性向上を十分に進められるなら、その産業や経済全体の雇用を押し上げることもできる。・・・二〇世紀前半には、自動車製造が急増したせいで、自動化されていない一連の技術職や事務職への需要が高まった。・・・ここ数十年間の自動車工場の生産性向上が、石油、鉄鋼、化学産業(ガソリン、車体、タイヤなど)の拡大の原動力となったことだ。自動車の大量生産は、輸送の可能性を大きく変え、・・・新たな小売り、娯楽、サービス業の台頭を可能にした。
だが、自動化による生産性向上が小さい場合、新たな雇用はほとんど生まれない。「そこそこのオートメーション」・・・たとえば、食料品店のセルフレジは、商品をスキャンする作業を従業員から顧客に移すにすぎない・・・レジ係の雇用は減るが、生産性が大きく向上するわけではない・・・食料品は大して安くならないし、食料生産は拡大しないし、買い物客の生活も変わらない。
新たなテクノロジーの目的が監視にある場合、・・・生産性は多少向上するかもしれないが、その主な機能は労働者からより多くの努力を引き出し、ときには給料を下げることである。
アメリカ・・・中西部のようなケースでは、ロボットの急速な導入によって、かえって大量解雇や地域の長期的衰退を招いてしまった。
こうしたあらゆる事情を考慮すると、テクノロジーに関しておそらく最も重要なこと・・・それは、選択だ。・・・デジタル・ツールを監視のために使うのか?自動化のために使うのか?それとも、労働者に力を与えるべく、新しい生産的な仕事を生み出すために使うのか?さらには、将来の発展に向けて、どこに力を注ぐのか?
生産性バンドワゴンがすべての人の賃金と生活水準を押し上げるには・・・因果連鎖の第二段階は、労働者への需要が増加することによって、企業が賃金を上げるよう促される・・・それが起こらないかもしれない理由が、主に三つある。
第一に雇用者と被雇用者のあいだの強制的な関係(例:歴史の大半の農業労働者)、第二に雇用者が競争に直面しないこと(例:初期の農業社会、中世ヨーロッパ)、第三に賃金は市場ではなく交渉によって決定される(例:20世紀初頭のフォード社、プロ野球選手)。
テクノロジーに関するビジョン
例:蒸気機関「熱を利用して機械的作業を行う」
ビジョンの選択・・・他人を説得する力に関わっている・・・支配的なビジョン・・・支配的なビジョンを持つ強力な意思決定者にとっては有利に、発言権のない人びとにとっては不利になる。
中国共産党が導入を決定した社会信用システム・・・個人、企業、政府機関のデータを収集し、それらは頼できるか、ルールを守っているかなどを監視する・・・党の方針に反する発言やSNSへの投稿があった者の全国的なブラックリストを作ることを目指している。・・・言論の自由や結社の自由、教育、政府の仕事、旅行する能力、さらには政府によるサービスや住宅供給を受ける可能性まで左右・・・当の人びとには、なんの相談もなかった。
フェイスブックのアルゴリズム変更・・・報道機関や定評あるブランドよりも、とりわけ家族や友人といったユーザーによる投稿を優先する・・・主要な帰結は、誤報や政治的分断の拡大だった。嘘や紛らわしい投稿がユーザーからユーザーへ急速に広まったせいである。
テクノロジーは、自然だけでなく他人を支配することを可能にする。・・・一部の人々は豊かになり、力を手にする一方、別の人々は力を奪われてしまう。
テクノロジーの社会的な偏りは避けられないのか?・・・包摂的なビジョンで利己主義に抗う
AIのせいで、多くの人が生活費を稼ぐ労働市場が根本から崩壊し、給与や労働の不平等が拡大するとしたら?AIがもたらす主な影響が生産性の向上ではなく、権力や繁栄を普通の人びとから奪い、データを支配して企業の重要な意思決定を行なう人びとへ再分配することだとしたら?
こうした流れのなかで、発展途上世界の何十億人もの人びとが貧困に陥るとしたら?たとえば肌の色に基づくような既存の偏見が強化されるとしたら?民主的な制度が破壊されるとしたら?
先進国だけでなく世界中のあらゆる地域で、AIは不平等を拡大させる軌道に乗ったようだ。テクノロジー企業や独裁的政府による大規模なデータ収集を活用し、AIは民主主義を抑圧し、独裁政治を強化しつつある。
テクノロジーの有益な力への信頼・・・われわれはテクノロジーを、自然との力関係を逆転させてくれるものと考える傾向がある。人間は火のおかげで、弱々しい物ではなく、地球上で最も破壊的な捕食者となった。・・・車輪によって距離を、電気によって暗闇を、薬によって病気を征服する
生産性バンドワゴンは自動的に走り出さない・・・最も強力なテクノロジー・リーダーのあいだで共有された有力なビジョンは、オートメーション、監視、大規模なデータ収集を重視し、共有される繁栄を損ない、民主主義を弱体化させる。
ビジョン寡頭性・・・共通のマインドセットを持つ小集団が社会的権力を独占し、声なき者や力なき者への破滅的影響を顧みようとしない・・・似たような経歴、似たような世界観、似たような情熱、そして残念ながら似たような盲点を持つテック・リーダーの仲間集団
ビジョン頭制が大きな説得力を持っているのは、輝かしい商業的成功を収めてきたからだ。
以後の各章について
第二章(「運河のビジョン」)では、成功したビジョンがいかに人を惑わせるかという歴史的事例・・・スエズ運河の建設で手にした成功は、同じアイデアをパナマに持ち込んで味わった目を覆うような失敗・・・ナマに海面式運河を建設するという実行不可能な計画・・・その結果、二万人を超える人びとが命を落とし、さらに多くの人びとが財産を失う羽目になった。・・・過去の成功に基づく強力なビジョンが災害となった例
第三章(「説得する力」)では、テクノロジーや社会に関する重要な決定をなす際に、説得が中心的な役割を果たす点に注目する。説得する力が政治制度やアジェンダ設定能力に根差している・・・
第四章(「不幸の種を育てる」)では、農業テクノロジーの進歩・・・新石器時代における定住農業の始まりから、中世から近世初期にかけての土地と生産技術の組織化をめぐる大変化まで・・・生産性バンドワゴンが自動的に走り出したという証拠は見つからない。・・・少数のエリートの富と権力を増大させる一方で、農業労働者に対してはほとんど恩恵をもたらさない・・小作農は政治的・社会的な権力を持っていなかったため
第五章(「中流層の革命」)では、産業革命・・・新たに自信をつけた中産階級、起業家、実業家のあいだに現れたビジョン・・・イングランドの制度的変化・・・政治経済の仕組みの変化はどのように起きたのか
第六章(「進歩の犠牲者」)では、・・・産業革命の第一段階で多くの人びとがいかに貧しくなり、無力化・・・労働者の声が如していたことの帰結・・・工業化によって、経済生活だけでなく、多くの人びとの健康や自主性にも悪影響が及んだ。・・・状況が変わりはじめたのは、一九世紀後半、普通の人びとが団結し、経済的・政治的改革を推進・・・社会的変化がテクノロジーの方向性を変え、賃金を押し上げた。
第七章(「争い多き道」)では、テクノロジーの方向性、賃金設定、・・・政治をめぐる困態な開争・・・第二次世界大戦後の三〇年間、アメリカをはじめとする工業国は急速な経済成長を遂げ、それはほとんどの人口層に広く共有された。・・・教育や医療の普及、平均寿命の延伸など・・・テクノロジーの変化が・・・仕事を自動化しただけでなく、労働者にとって新たな機会を生み出した
第八章(「デジタル・ダメージ」)では、現代・・・繁栄の共有モデルを手放してしまった・・・テクノロジーの方向性が、労働者に新たな仕事や機会を提供することから、仕事の自動化や人件費削減を最優先することへと変わった・・・労働者、労働団体、政府の規制などによる意見や圧力が如した結果・・・繁栄の共有を損なう一因となった。
第九章(「人工闘争」)では、・・・人工知能についてわれわれがどう考えるか、また、AIが経済的不平等へのトレンドをいかに悪化させているか・・・人間の作業のほとんどで、既存のAIテクノロジーは限られた利益しかもたらさない・・・職場の監視にAI・・・労働者の力が奪われている。・・・オートメーションが世界中に輸出され、発展途上国における数十年分の経済的利益を台無しにしてしまうおそれ・・・深刻な分配効果・・・「機械の有用性」・・・労働者の能力を補完・・・生産性的な応用・・・次第に顧みられなくなった
第一〇章(「民主主義の崩壊」)では、・・・AIを用いた大量のデータ収集によって、政府や企業による市民の監視が強化・・・目下AIが歩んでいる道は、経済にとっても民主主義にとっても良いものではない
第一一章(「テクノロジーの方向転換」)では、・・・有害トレンドを反転させる・・・転換のテンプレート・・・テクノロジーの社会的偏りの特定の側面に取り組むために、物語を変え、対抗勢力を築き、技術、規制、政策に関する解決策を練り上げることだ。
第2章以降の抜粋(続く)
ウクライナの有名歌手のメドレーを聴きませんか? - 8月24日はウクライナの独立記念日 (1)
一足先に、2020年の独立記念日のイベント映像をお届けします。
ウクライナの有名歌手が一気に聴けます。さすが若い国って感じ!!
*
実はゼレンスキーって、こういうことをやりたかったらしいよ。ウクライナをハリウッドにしたいんだって。
同じインタビューで、こういうことも言っていた。
14:28~
(インタビュアー)Volodya(ゼレンスキーの愛称)、あなたは学校で外交官になりたいと思っていて、MGIMO(モスクワ国際関係大学)に入る準備さえしていたというのは本当ですか? 多くの人が望む大学に?
(ゼレンスキー)それは私の夢でした、私は国際交渉に興味がありました。
(ゼレンスキー)私はそれがとても好きで、英語を勉強し、英語の専門学校を卒業しました。
(インタビュアー)それで、あなたはそのために自分自身で準備したのですか?
(ゼレンスキー)いいえ、しかし、環境がありました。それは原則として、私の故郷が私に与えたテーマの継続でした。
*
この人は、ただのコメディアンじゃないよ。神童エピソード、ゴロゴロ出て来るし。完全に自分の言葉で喋ってるし。ゾッとするほど賢いし。
これを3月には聞いて(読んで)いたので、私は安心して経緯を見ていられたのです。
(出典)
Владимир Зеленский. 1/3. "В гостях у Дмитрия Гордона" (2018)
上のインタビューの書き起こし要約。長いよ!
実は、半年前このインタビューを見たとき、ずいぶん尖ったこと言ってるなぁ、と思ったのです。
でも、自分の新卒の頃に、計算系の研究室出身だったにもかかわらず「ソフトとかレクリエーションとか、そういう虚業は不安だから実業をやろう」と思って製造業に進むも、その後時代が変わって、ソフトは花形産業だし、ゲームは成長市場だし、製造業は停滞して嫌な空気ばかり漂ってるし、道を誤ったと思ったことを思い出しました。
もしかしたら、ハリウッドが主力産業というのも、有りなのかもしれないな・・・と。それにウクライナの音楽文化、すごく分厚いし(別途書きます)。
そして、ウクライナの音楽にすっかり魅せられてしまい、すっかりミイラ取りがミイラになり、こういうコアなファンを増やすことが、もしかしたら、とても大きな意味を持つのかもしれないと思いました。
どう思いますか?
無敵の人、ウクライナに肩入れする
若い人達が「ああいう統治」から脱出したいのなら、抜けさせてあげたい、ただそれだけだったんです。
そう思うに至った背景は、この辺を参照。
国際社会の中のロシア(5/06 国連安保理 各国発言)有名な自作自演 [抜粋]
国連安全保障理事会(いわゆる安保理、UNSC)への「ロシアの報告」の後の各国発言です。各国がロシアの情報を、どのように認識したかという観点から抜粋しています。
国連安保理での「ロシアの報告」に対する各国の反応
各国名の後ろの時間をクリックして再生マーク(三角)を押すと、その国の発言で頭出しした動画が開きます。ぜひご確認を。
インド 1:16:28
インドはブチャでの民間人の殺害を強く非難し、独立した調査の呼びかけを支持した。私たちは、ウクライナの人々の苦しみを和らげるためのあらゆる努力を支持します。
メキシコ 1:18:40
メキシコは、ウクライナに対するロシアの侵略の結果として、国際人権法と国際人道法の重大な違反に直面していることを示す報告を深く懸念しています。
中立的な情報源による公平で事実確認済みの情報が必要です。これにより、加盟国と国際社会全体の間の敵意をさらに煽っている情報戦争に終止符が打たれます。
フランス 1:21:14
ロシアは、ウクライナに対する侵略戦争で残虐行為を正当化するために使用する空想を現実に変えることに成功しないだろう。この危険な偽情報作戦に直面して、私たち国連は何よりもまず、国連システムの権限ある機関によって確立された事実に頼らなければなりません。
ミンスク協定の実施のためにドイツと協力しましたが、(中略)対話と交渉の道に終止符を打ち、暴力と破壊に訴えることを選択したのは、ロシアとロシアだけでした。
アラブ首長国連邦 1:26:38
私たちは、テクノロジーによって増幅され、民間人と人道支援従事者の両方に有害な偽情報とヘイトスピーチの規模に懸念を抱いています。
ノルウェー 1:28:55
私たちは、ロシア連邦が国連とその中での特権的な地位を偽情報のプラットフォームとして、またウクライナの人々に対して繰り広げている残忍な戦争から注意をそらすための煙幕として悪用していることを目の当たりにしています。この偽情報キャンペーンの激しさは驚くべきものです。ロシアは、その非難に対して信頼できる証拠を提供することも、事実と文書の収集を任務とする国際機関に協力することもできませんでした。ロシアは代わりに、根拠のない主張とほのめかしを行っています。今日の会議は、混乱を広め、ウクライナへの不法侵攻における侵略者としてのロシアの役割から注意をそらすための別の試みにすぎません。
アルバニア 1:33:13
偽情報キャンペーンの枠組みの中で今日も聞いたように、ロシアは、ウクライナのロシア語を話す人々の権利を侵害を、偽って主張して隣国に侵入しました。これらの懸念に対処できた有能で効率的な国際機関があります。国際司法裁判所は、ウクライナ人が犯したとされる犯罪の証拠を発見せず、ロシアに対し、ウクライナへの軍事侵略を直ちに停止するよう正式に命じました。
ロシアは虚偽の説明を繰り返し続けていますが、国際司法裁判所を納得させることはできませんでした。それは国連総会を納得させることができず、世界を納得させることができませんでした。
ガーナ 1:38:57
ガーナは、国際法、国際人道法、国際人権法のすべての違反、ウクライナで誰が犯した残虐行為であっても、独立した、公平で徹底的な調査の対象とすべきであり、事実を立証し、責任を割り当て、すべての加害者に彼らの行動と不作為の責任を負わせることを支持します。
アイルランド 1:40:40
ロシアの侵略を受けて犯された犯罪の説明責任を求める声が前例のないほど高まっています。これらの呼びかけは、人権理事会の調査委員会の設立、ウクライナの国連人権監視団による国際刑事裁判所の文書の検察官の調査、OSCによる報告、専門家のモスクワ機構の使命など、国際社会の迅速な行動によって一致しました。ロシアが絶え間なく批判し、これらの機関との関与を拒否していることは、ロシアがウクライナで説明責任を果たすことをいかに軽視しているかを物語っている。
偽情報が私たちの正義への支持を妨げるロシアの転覆戦術は、テロリストへの反対、ウクライナとその国民への正義への支持を妨げるものではありません。
もちろんロシアでは、この苦しみを抑える非常に簡単な方法が 1つあります。この不当な戦争を止めてください。
米国 1:44:00
ロシアが国連の安全保障理事会を悪用したことは目新しいことではありません。
この傾向は、今年のウクライナの本格的な侵略のずっと前に始まりました。ロシア連邦の国連への使命は、何年もの間、安全保障理事会を利用して偽情報、嘘、虚偽の物語を広めることでした。ロシア連邦の代表は、嘘を繰り返すことはそれらを真実にすると考えているようです。しかし、それはロシアの戦術を全世界が見ることができるようにするだけです。ロシアはかつてないほど孤立しています。米国が以前に言ったように、ロシアはウクライナに対する侵略戦争を止め、安全保障理事会を使って嘘や偽情報を広めるのをやめなければなりません。
英国 1:45:06
プロパガンダについては、よく言われる嘘が真実になると、しばしば言われて来ました。私たちはそれを阻止する義務があります。ロシア連邦は、ロシアに対する不法で正当な理由のないウクライナ侵略を正当化するために、ネオナチとNATOの架空の脅威についての虚偽の物語を組織的に広めようとしています。しかし、事実は別の話を物語っているので、それは成功しません。
ロシアは、ウクライナ東部での分離主義者の紛争を扇動し、煽り立てました。ロシアは分離主義者を支援し、ロシアのBUK ミサイルでマレーシアの MH 17 便をウクライナ上空で撃墜し、298 人の罪のない民間人を殺害した。そして、ロシアはウクライナ国境に 100,000 人以上の軍隊を訓練の偽装の下に集結させ、主権民主主義国家に対して本格的で挑発的でない計画的な攻撃を開始しました。この侵略は国際社会から圧倒的に非難され、ウクライナ国民は勇敢に抵抗してきました。クレムリンは偽情報作戦を使ってウクライナの主権を弱体化させ、虚偽の偽りのふりを作成し、真実を覆い隠し、ウクライナ国民への攻撃の残虐性を隠しています。
ケニア 1:48:47
私たちの連帯は、進行中の攻撃、残虐行為、戦争犯罪に苦しんでいるウクライナの人々と共にあります。
私たちはまた、公的記録における彼らの経験の故意または偶発的な議論に伴う生存者と家族の苦痛を認識しています.そのため、情報環境を形作るために、複数の組織化された国家および非国家のアクターによる前例のない努力があることに注意する必要があります。
ガボン 1:53:08
残虐行為や国際人道法の乱用を非難する際には、戦争がなければ犯罪や犯罪は存在しないという厳しい現実を心に留めておくことが重要です。
ブラジル 1:57:54
我々は、広範かつ効果的かつ即時の停戦に対する我々の信念を新たにし、ロシアとウクライナに対し、紛争の政治的解決に資する交渉を再開するよう求める。
私たちは、ロシアとウクライナに対し、敵対行為から逃れたい民間人が安全な場所に避難できるようにするための合意に向けて努力するよう要請します。
中国 2:01:32
関連する状況と出来事の特定の原因を検証および確立する必要があり、あらゆる告発は事実に基づいている必要があります。
シリア 2:04:01
この重要な会議を開催してくれたロシア連邦の代表に感謝します。この会議は、加盟国がウクライナで起こっていることの真実を認識し、ロシア連邦に害を与え、誤解を招く虚偽の主張と口笛キャンペーンを暴露する機会を提供します。
国連安保理での「ロシアの報告」に対する各国の反応
各国名の後ろの時間をクリックして再生マーク(三角)を押すと、その国の発言で頭出しした動画が開きます。ぜひご確認を。
一部の切り抜きとか、訳が恣意的とか言われるのも不本意なので、全文の直訳を用意しました。自動認識の文字起こしと機械翻訳を使ってるので、ミスがあったら失礼。
日本語全文はこちら
英語原文の全文
SNSで、この会議を「国連も(ロシアの主張を)認めました」と言って拡散していました(さらに、書いては削除して、証拠が残らないようにしていました)。前半のプロパガンダ動画だけ見て、後半の各国発言を聞く人はいないと見込んだ作戦です。
すごい自作自演ですね。
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