無敵の人(予備軍)日記

2022年8月時点では、Quoraに書いた文章の転載先として開設しました。無敵の人の成り立ちを描きたいと思います。

「持たざる者」に問います。「持たざる者」にしかわからないことはなんでしょうか?自身が「持てる者」になった暁にはその「わからないこと」は忘れてしまいたいでしょうか?

「持てる者」から「持たざる者」に転落したため、両方が分かる者です。その持てる対象は、他者から尊重されること(尊重される立場)です。持たざる者になる前は、無邪気に、自分の受けているものは自分の実力であり努力の結果であり、他の人も同じようにすれば簡単に手に入るのに、実力が無いか、心がけが悪いか、間違った方向に努力しているために結果につながっていないだけだと思っていました。ネットなどで嘆く声を目にしても、本人の責任だと思っていました。

「持たざる者」の世界に転落してから、そのような立場にいる人が、いかに最初から無理ゲーの世界で生きているか、いかに尊厳を削られた中で生きているか、いかに作られた悪意の世界で自分もその一部に加担することを強制されているか(それこそが、作られた悪意の世界を維持する仕組みであることを)、理解するようになりました。世のお父さんがどうしてストレスを溜めているか、どうして酒に逃げる人がこんなにいるのかを理解するようになりました。

以前の世界に戻ることはもう二度とないと思いますが、絶対忘れないと思いますし、持たざる者を差し置いて自分だけが甘い汁を吸いたいとは思わないので(上記のような世界を維持する仕組みの一つに、その世界の中である程度耐えていると、甘い汁を吸う誘惑が度々来ることがあります)、この世界の中の「(比較的)持てる者」側に行くことも無いと思います。

初出: 2020年3月8日